気密測定とは?

家の“すき間”を見える化する「気密測定」とは?

住宅を建てるとき、つい「間取り」や「デザイン」ばかりに目が行きがちですが、実は見えない部分――つまり“すき間”の量こそが、快適な住環境づくりのカギを握っています。

その“すき間”を客観的に評価するのが「気密測定」です。今回は、住宅の気密性能を測るこの重要な工程について、わかりやすく解説します。


🏠 そもそも「気密性」とは?

「気密性」とは、住宅にどれだけ“すき間”があるかを数値で表した性能です。
このすき間の量が多いと、せっかくの暖房や冷房の空気が外へ逃げてしまい、光熱費が上がったり、室温が安定しなかったりと、暮らしにさまざまな影響が出ます。

その気密性を数値で“見える化”するのが「気密測定」。測定によって得られるのが「C値(㎠/㎡)」という指標です。

C値は、建物全体の床面積1㎡あたりに、どれだけのすき間(㎠)があるかを示したもの。
この数値が小さいほど、住宅の気密性が高いことを意味します。


📊 C値の目安と住宅性能の違い

C値の目安性能レベルの目安
2.0~5.0㎠/㎡一般的な住宅。すき間が多く、空調効率が低下
1.0㎠/㎡以下気密施工を意識した高気密住宅
0.5㎠/㎡以下非常に高性能。施工体制の成熟が前提

例えばC値3.0だと、家全体(30坪)ではがき2枚分のすき間がある計算です。


🧭 私たちがC値1.0以下を推奨する理由

私たちは「C値1.0㎠/㎡以下」を、快適な住まいのための“ちょうどいい目標値”としておすすめしています。

その理由は、次のような実用的なメリットが得られるからです:

  • 換気システムが設計通りに機能しやすくなる
  • エアコン効率が向上し、電気代のムダが減る
  • 不快なすきま風や温度ムラが発生しにくい

⚠️ 数値競争には要注意。C値はどこまで求めるか?

中には「C値0.3」「C値0.2」といった数値にこだわる声もありますが、こうした極端な高性能は、以下のような副作用も伴います。

  • 高性能な断熱材や高価な断熱気密工法が必要になる
  • 換気設備との整合性に課題が出やすい
  • 建築コストが大幅に上昇する可能性がある

さらに、気密施工に不慣れな工務店にとって、C値0.5以下を実現するのは非常に困難です。
「それなら最初から高性能住宅専門の会社に行ってください」と断られてしまうこともあります。


🔚 バランスの取れた家づくりのために

だからこそ、私たちはC値1.0㎠/㎡以下をひとつの基準としてご提案しています。

  • 住まい手にとっては:快適で省エネ、かつ光熱費が安定
  • 作り手にとっては:過度なコストや特殊技術に依存せず実現可能

気密性能は、ただ数字を競うものではなく、暮らしの質を高めるための“手段”です。

ご自身の家づくりにとって、最適なバランスを考えるヒントになれば幸いです。

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